基礎知識

腎臓の働きが悪化するのを防ぐ!生活の中で注意することとは?

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 腎臓は背中側の腰の上あたりにある臓器です。
腎臓は、体を巡っている血液をろ過する働きをしており、老廃物を取り除く大切な役割をしている臓器です。この腎臓の働きが悪くなると慢性腎臓病になり、末期腎不全、心筋梗塞、脳梗塞といった心血管疾患を起こしやすくなります。

 腎臓が傷つく、腎臓の働きが低下すると、放っておくとどんどん悪化してしまいます。腎臓の恐いところは、働きが悪くなっていても、自覚症状がほとんど表れないところです。腎臓の働きが悪化することを防ぐために、日常生活で気をつけるポイントがあります。

腎臓について正確な知識を身に着け、腎臓が良好な状態を維持するためにはどうすればいいのかを理解しておく必要があります。

まずは腎臓の負担を減らす!

 腎臓は、体が常に良好な状態を保つように整える、体を常に監視している臓器です。腎臓が傷つく、腎臓の働きが低下することが3カ月以上続くと、慢性腎臓病(CKD)になってしまいます。そのまま進行していくと、透析治療や腎移植が必要になる末期腎不全になる可能性があるのです。

 腎臓の病気を防ぐためには、まずは腎臓の負担を減らすことが大切です。もし、慢性腎臓病(CKD)になっているのに、好きなだけ食べたり飲んだりを繰り返しているとどうなるでしょうか?

 腎臓はフル稼働して動かなくてはならなくなります。腎臓が傷ついたり、働きが低下しているのにフル稼働が続くと、腎臓は無理を重ねることになるので、疲弊してしまいます。そして、腎臓の働きはどんどん低下していくことになるのです。

 腎臓の負担を減らすには、様々な角度から腎臓を守る努力をすることが大切です。

食生活の改善

・エネルギー量を制限する
・減塩する
・たんぱく質の制限をする

生活習慣の改善

・禁煙する
・運動する
・睡眠をとる

腎臓に影響を与えている原因の治療

・腎臓自体の病気
・糖尿病
・高血圧

食生活の改善をしましょう!

 腎臓は体内の老廃物を尿などで外に出す働きをしています。もちろん食べ過ぎや飲み過ぎは腎臓に負担を与えてしまうことになります。特に、塩分やたんぱく質を多く摂ると、過剰に働かなければならなくなり、腎臓に大きな負担となってしまうのです。バランスの悪い食事や乱れた食習慣も腎臓に負担をかけてしまうのです。

 腎臓が傷ついている、腎臓の働きが低下しているのに無理な働きを続けると、さらに腎臓を傷つける、腎臓の働きが低下する原因を作ってしまうことになるのです。
高血圧や糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病も腎臓を傷つける、腎臓の働きを低下させる原因となるのです。

エネルギー量を制限する

 生活習慣病が原因となっておこる慢性腎臓病(CKD)では、肥満は大敵です。肥満の場合は、摂取するエネルギー量を減らす必要があるのです。
そもそも自分が肥満かどうかを知る必要があります。自分の体形を知る方法は、BMIで調べることができるのです。BMIはBody Mass Indexの略で、ボディマス指数のことをいいます。
計算方法は以下の通りです。

 

体重(kg)÷[身長(m)の2乗]

 

 計算した結果、25以上であれば肥満と判定されます。
一般的に健康維持に必要なBMIは22と言われています。最も病気になりにくい状態であるとも言われているのです。
 逆にBMI18.5未満は低体重(やせている)になり、18.5以上25未満であれば普通体重と判定されます。

 BMI25以上であれば肥満になるので、摂取エネルギーが過剰になっているのです。エネルギー量を減らして肥満を改善することが必要です。
 BMI18.5以上25未満であれば普通体重ではありますが、これから肥満にならないように、しっかり適正なエネルギー量を守ることが大切といえます。

 エネルギー量も大切ですが、運動をして筋肉量が低下しないようにする努力も必要です。食事療法をしてエネルギー量が不足してしまい、筋肉量が減ってしまう状態(サルコペニア)になります。サルコペニアは、腎臓に悪影響を与え、歩くのが遅くなるなどの生活に支障をきたすこともあるのです。

減塩する

 慢性腎臓病(CKD)は、塩分を摂り過ぎないことが重要になってきます。塩分の摂取量が多いと、塩分を排出するために腎臓に大きな負担を与えることになってしまうのです。その結果、腎臓の働きがさらに低下して、末期腎不全になるリスクが高くなってしまうのです。
塩分の摂り過ぎは高血圧も招いてしまいます。高血圧は、腎臓を傷つけ、働きを低下させる原因になるのです。

塩分の高い食品を控える

 塩分の多い食品には、梅干し、たくあんなどの漬物、干物、たらこなどがあります。こうした食品を控えるようにします。まったく食べないと寂しい食卓になるので、食べたい時は、手作りの浅漬け、減塩タイプの漬物を選んで、塩分を減らすことができるのです。

1日1回飲むもの

 味噌汁、スープ、お吸い物も塩分が高いです。飲むのならば、1日1回と頻度を定めるようにします。

週1回食べるもの

 ラーメン、うどん、そばなどの麺類は塩分が高いです。食べるのは週1回と頻度を定めるように工夫します。

鍋料理に注意する

 鍋料理のスープやシメの雑炊やうどんは、たくさんの種類の具材の味が混ざった深い味わいになるので、とても美味しいものです。しかし、塩分は高めになります。鍋料理を食べるのならば、スープは飲まない、シメの雑炊やうどんを食べないことで、塩分を控えることができます。

たんぱく質の制限をする

 たんぱく質は、体を作るために無くてはならない栄養素です。しかし、たんぱく質が消化吸収されて体の中で利用される時には、老廃物が発生します。腎臓は老廃物を取り除く役割をしているので、たんぱく質の量が多いと、腎臓にかかる負担が大きくなるのです。腎臓の働きが低下している場合は、症状や体調に応じて、たんぱく質の量を制限する必要があるのです。

しかし、たんぱく質の制限には、自己判断は禁物です。必ず主治医の指示に従う必要があるので注意してください。

肉は適度に脂質を含む部位が良い

 肉の脂質を摂り過ぎると動脈硬化を進めることになりますが、適量を守れば低たんぱく質にすることができます。

魚は赤身よりも白身が良い

 魚は白身魚や貝類、甲殻類がおすすめです。青魚は量を減らして摂るようにします。青魚に含まれるEPAやDHAなどの栄養素は、是非摂取したいからです。

豆腐は絹ごしが良い

 木綿豆腐と絹ごし豆腐はどちらも同じ豆腐ですが、絹ごし豆腐の方が低たんぱく質なのです。

生活習慣の改善をしましょう!

 腎臓の負担を減らす生活習慣は、働きすぎたり頑張り過ぎたりせず、安静にしすぎたり休み過ぎないことが大切です。何事もほどほどにすることを心がけることです。過労で体に負担がかかると、腎臓にもよくない影響を与えます。逆に生活習慣病があるのに安静にしすぎると、生活習慣病が悪化し、腎臓にも良くないのです。

 無理の無い範囲で、適度に体を動かすことが大切です。例えば、1日30分以上のウォーキング(早歩き)の有酸素運動はおすすめです。

禁煙する

 喫煙は腎臓の血管をボロボロにしてしまいます。タバコを吸っている人は、今すぐに禁煙を始めてください。

 タバコの煙に含まれる物質は、血管を収縮させます。もちろん腎臓の血流も悪くなり、数本の毛細血管が球状に絡まった小さなろ過装置である糸球体が働かなくなってしまうことがあるのです。血管の収縮で、血圧が上がってしまうと、腎臓の働きを低下させてしまう原因にもなります。
習慣となっている喫煙をやめるのは簡単ではありません。禁煙が成功するにはコツがありますので、紹介いたします。

 

<禁煙成功5カ状>

①禁煙開始日を決める
禁煙は具体的な日にちを決めなければ、なかなか実行できません。「今日から」「明日から」と具体的な禁煙開始日を決めることで、行動を起こしやすくなるのです。

②禁煙宣言をする
「●月●日からたばこをやめる!」と同僚や家族の前で宣言をします。宣言をすると、たばこを吸いたくても吸いにくい状況になるからです。自分を厳しい環境に追い込むのです。

③タバコを吸いたくなる状況を避ける
いままでタバコを吸っていた場所や喫煙所に行くとタバコを吸いたくなってしまうので、近寄らないことです。タバコを吸いたい気持ちにさせないことが大切なのです。

④喫煙達成状況を記録する
禁煙できた記録をつけるようにします。禁煙が達成した状況を見れば、これからも頑張ろうと励みになるからです。もしタバコを吸ってしまったら、吸ってしたまった日付と状況や場所を書いておくと、自分の喫煙パターンを冷静に分析できるようになります。

⑤上手に気を紛らわす
もしタバコを吸いたくなったら、他の事で気を紛らわすことが大切です。口が寂しくなった時のために、アメやガムを携帯しておきます。炭酸飲料で紛らわすこともできます。軽い運動をすることで、気分転換をはかることもできるのです。

運動をする

 適度な運動を行うことは、腎臓に良い影響を与えます。運動はエネルギーを消費できるので、肥満を解消したり、防いだりすることができるからです。高血圧や糖尿病の人は、血圧や血糖をコントロールすることに役立つのです。運動は、有酸素運動がおすすめです。ウォーキングやスロージョギングといった、息が切れない程度の運動を1日30分以上を目安に行ってください。

運動の注意点

・激しい運動は避ける
慢性腎臓病の人が運動を行うときは、医師にすすめられていることが条件です。腎臓の状態によっては、ジョギングやテニスといった激しい運動は、腎臓の負担となることがあるからです。

・必ず水分補給する
腎臓は、体内の水分量も調節する役割をしています。水分が不足すると腎臓に負担がかかってしまうからです。運動の前後には、しっかりと水分を補給するようにします。

睡眠をとる

 睡眠不足の人は、慢性腎臓病(CKD)になりやすいといわれています。睡眠不足や質の悪い睡眠は、腎臓に負担を与えてしまいます。規則正しい睡眠を心がけて、睡眠時間は8時間を目安にしてください。

 

<良い睡眠を作る5条>

①早朝に目覚めてカーテンを開ける
ぐっすりと眠るためには、早朝に目覚めることが大切です。起きたらカーテンを開けて、太陽の光を浴びることで、体内時計がリセットされるのです。

②決まった時間に朝食を食べる
朝食を決まった時間にすると、体が消化吸収の準備をするために、朝の目覚めが良くなるのです。昼食や夕食も決まった時間に食べることが理想です。

③日中は適度に体を動かす
日中は、仕事や家事で適度に体を動かすことが大切です。そうすると疲れるので、夜に眠りやすくなるのです。

④就寝の3時間前に夕食を終える
遅い時間に食事をすると、体が消化吸収するために働き、体温が上がることで眠れなくなることがあります。

⑤就寝の2時間前までに入浴する
入浴で体温が上がり、体温が下がることで眠くなるので、その目安の時間だからです。お風呂は37度~40度前後のお湯が良いです。

腎臓に影響を与えている原因の治療

 慢性腎臓病(CKD)は、慢性的に腎臓が傷ついている、腎臓の働きが低下していることで起こる状態の総称です。慢性腎臓病(CKD)になる原因は、様々です。腎臓自体の病気が原因になっていることもありますし、糖尿病や高血圧、肥満、高尿酸血症などの生活習慣病が原因になっていることがあるのです。

その他のも加齢や抗生物質、消炎鎮痛薬などの薬が原因になっていることもあるのです。
慢性腎臓病(CKD)が何が原因で起こっているかをつきとめ、適切な治療を受ける必要があるのです。

慢性腎臓病(CKD)の原因

腎臓自体の病気

・慢性糸球体腎炎
・慢性間質性腎炎
・多発性嚢胞腎 など

糖尿病

高血圧

脂質異常症

肥満

高尿酸血症

抗生物質、消炎鎮痛薬などの薬

加齢

慢性腎臓病(CKD)は早期発見、早期治療が大切!

 慢性腎臓病(CKD)は早期発見をして、早期治療することが大切です。どんなに忙しくても、定期的な健康診断は必ず受けるようにしましょう。

 慢性腎臓病(CKD)が重大な病気であることは世界中で認識されるようになってきています。毎年3月の第二木曜日は「世界腎臓デー」になっているのです。慢性腎臓病(CKD)を多くの人に知ってもらうために、国際腎臓学会と腎臓財団国際協会が共同で提案して、2006年に制定されたのです。

腎臓の病気は早期発見、早期治療が大切だと啓発するキャンペーンが世界100カ国以上で行われているのです。

腎臓は悪くなってもなかなか自覚症状はでません。

むくみやだるさなどの症状が出てきたときには、病状が進行している可能性があります。慢性腎臓病(CKD)は、尿や血液検査で調べることができるので、何かおかしいなと感じたら、早めに医療機関を受診することが大切なのです。

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